手術後に癌を洗浄することで再発率が下がる?蒸留水か生食か。どっちで洗ってますか。

しげぞうです。外科専攻医1年目、消化器外科志望:乳腺ローテ

若手の医師・外科やコメディカルに向けて、ちょっと気になる疑問を勉強してアウトプットするブログ

 

乳腺外科で乳がんの手術をしたあとに

たっぷりと洗浄しているとは思います。

・出血の確認。

・汚くなった創部の洗浄で感染予防。

・乳がんの再発予防。

こういった意味でたっぷり洗浄していると思いますが、

実際に意味があるのか?

僕らの施設では、蒸留水1000ml、生理食塩水1000mlで洗浄しています。

洗浄にどんな効果があるのか

手術の最後には、手術で取り除いた癌が術野にふりまかれています。

もちろん、手袋にもべったり。

術野の傷にもべったり。

目に見える血や汚れなどはしっかり洗って

目でわかりますが。

ちっちゃい癌細胞などは目ではわかりません。

そこでしっかりと大量に洗うことで、

癌細胞が取り残されることがなく、

摘出できるということです。

実際に目に見えてるわけじゃないけど、

こういう過去の事実を積み上げて

得た知識とかを大切に意識するってのが、

プロフェッショナルぽいよね。

癌は本当に飛び跳ねているのか?

癌は取り除こうとした際に傷つけることで

他の部位に飛び跳ねていっているんでしょうか。

インプランテーションメタスタシスという言葉があります。

例えば、肝臓がんの膿瘍形成があったとしましょう。

膿瘍までははっきりしない。

という時にドレナージ目的、生検目的に穿刺します。

癌に針を刺し、引き抜いてくる際に

針に付着した癌細胞が他の部位に落ちる。

そして生着する。

そこで癌が再発する。

メタスタシス(転移)

インプランテーション(刺したことによる)

というものです。

本当にそうなのかな。とか思ってしまいますよね。正直。(笑)

そもそも、触った癌が散乱するのはまだわかりますが

跳んでいった癌がその場所で生着したり、機能を持つんだろうか。

癌って一度体から離れてもまだ栄養を得て、育つんだろうか。

そんな疑問が生まれます。

生理食塩水か蒸留水か

上記の疑問はおいておいて、

癌手術ごの洗浄に戻ります。

洗浄するための液体は、僕らの乳がん術後では、

生食1000ml蒸留水1000mlを使っています。

 

生理食塩水は等圧の洗浄水ですね。

蒸留水は低圧の洗浄水。

そうです。

浸透圧の効果を期待して使い分けをしています。

実際に医中誌でいくつか研究がありました。

結果は、蒸留水を使い洗浄したものの方が

癌の再発率が低いことが分かったそうです。

実際にどれだけ遊離しているのかもわからないし、

実際に生着しているのか、

生着してからどれだけ機能しているのか、

これもわかりませんが、それは後々の研究でわかるでしょう。

体的には、生食で洗うほうがいいですよね。

無駄に体に水入れたくないですからね。

まとめ

術後の洗浄には効果たくさん。

感染症予防。

出血源の確認。

癌、再発予防。

 

蒸留水は浸透圧で癌細胞の機能をぶっ壊す。

癌細胞自体も壊すし、残った癌細胞も生着を予防することに。

 

というわけで意味はめっちゃあるぽい。

 

以上、ありがとうございました。20210527

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